教授挨拶

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教授挨拶

受精の瞬間に生命は躍動を開始します。産婦人科医は、この生命の最初の瞬間にも生殖医療を提供し、手を差し伸べます。

命を得た胎児はお母さんのお腹の中で過ごします。多くは順調に成長し、この世へ生まれ出ます。しかし、小さなトラブル、大きなトラブルが胎児を襲うこともしばしばです。産婦人科医はお母さんの命を最優先にしつつ、お母さんが赤ちゃんを無事に抱っこできるように支えます。誕生したその時にすぐに対応すれば助かる胎児に対しては、小児科医、小児外科医などの仲間に応援を求め、体制を整えて生まれ出る時を創ります。

性に対する正しい知識は、思春期の若者を助けます。性教育はもうすぐ大人になる若者が様々な危険を避ける知識を与える産婦人科医の重要な使命です。月経にまつわるトラブルへの対応、子宮頸癌の予防効果があるHPVワクチンの普及などを通した思春期から性成熟期を迎える女性の手助けも産婦人科医の役割です。

婦人科のがんは患者数の増加が止まりません。いずれは子供を得たい女性が児を得る前にがんに罹患したとき赤ちゃんを産める力を残した治療法が選択できるのか、一人一人の患者さん毎に、ご家族も含めて産婦人科医が一緒に考えます。

がんは早期発見できれば治る可能性が高くなっています。「がん」という言葉でショックを受けている患者さんにただしい知識をお伝えし、怖がり過ぎることなく一緒に最適な治療を完遂できるように私たちは患者さんのお気持ちも支えたいと思います。病を治すことができないときもあります。それでも、私たちには役割があります。緩和医療の専門家のアドバイスを積極的に取り入れながら、その時が来るまで患者さんができるだけ苦しまずに、有意義に過ごせるように努めます。

女性のヘルスケアに関わる産婦人科医は、月経時や更年期さらに老年期においても女性に現れる様々な症状を、気のせい、年のせいと諦めるのではなく、患者さんの不快感を緩和する方法を、漢方薬など東洋医学の適応も含めて探ります。

私たち産婦人科医は命が輝き出した瞬間からその命を全うする時まで、ずっと寄り添うことが使命です。筑波大学産科婦人科ではこの使命を果たすための知識と技術と心を若い医師に伝え、ベテランも初心に立ち返る様に心がけて、患者さんに向き合います。

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